Subject: [ts-mag:00137] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 129号】
    Date: Fri, 12 Dec 2003 19:09:24 +0900
    From: Taichi FURUHASHI

OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users      2003/12/13
Keywords: OpenGIS,TNTmips,Threshold,Below,Above,PrimaryKey


オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第129号「 以下とみるべきか、 未満とみるべきか、それが問題だ  」
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                       株式会社 オープンGIS





たいそうなタイトルを付けてしまいましたが、
厳密に考えるとすごく大切なことです。

なんの事かと言いますと、ある値を境に数値を分けること。

例えば、たくさんの人の身長を調べて、身長170cm を境に「背の高い人」
と「背の高くない人」で無理矢理に分けたとします。この場合、境にす
る 170cm という値を、「しきい値(閾値)」とか「 Threshold 」と呼び
ます。 さらにこの「170cm」という境界の値が、厳密に言うと「170cm
以上が背の高い人」なのか、「170cm よりも上の人が背の高い人」とな
るのか、あやふやになります。


以上か、より上か、未満か、以下か...

しきい値が果たして、どのように扱われるのか、詳細に調べてみました。


●


実際に、TNTmips で行う「しきい値」の処理は、大きく3つあります。

え、そんなにたくさんあったの? と思われるかもしれませんが、
それぞれご紹介していきましょう。

[1]ラスタのフィルタ機能の「しきい値機能」
メインメニューより [Process]-[Raster]-[Filter]-[Threshold...]







[2]ラスタの計算機能の「しきい値機能」
メインメニューより [Process]-[Raster]-[Combine]-[Predefined...]
Type:「Logical」 Operation:「Threshold」
(コンポジットカラーのグレイ抽出は「Logical」「Threshold Gray」)







[3]リージョン発生機能の「しきい値機能」
メインメニューより [Display]-[Spatial Data...] [New 2D Group]
[Show Details] マーク [Create Region]-[Threshold...]







これだけあると、さすがに迷ってしまいますね。
そこで、どんな結果が得られるのか、またその境は、厳密にどのように
扱われるのか、チェックしてみましょう。


●


今回のサンプルデータは、このような標高データを用意してみました。
0〜255 (8ビット)の値を持っている DEM です。

▽全体表示




▽注目箇所を拡大表示(DN値も表示してみました)




このデータに対して、標高100m をしきい値に設定し、それぞれ、3つの
しきい値機能を使った場所の抽出を行ってみましょう。



[1]フィルタ機能の「しきい値機能」を使ってみよう!!

まず、この機能のおおまかな機能ですが、ラスタデータを一つまたは複数
個設定し、そのラスタの値(DN値)から、しきい値を境に、0(ゼロ)もしく
は1へと置き換えて、新しい01ラスタを出力します。
ラスタにはこの機能の設定ウィンドウを確認してみますとこんな具合です。




今回は、Threshold の値を 100 と設定して、Binaly Value: を2種類
切り替えて出力してみました。


▼0 (black) Below Threshold の場合



→ しきい値未満が0(ゼロ) [黒]、しきい値以上が1[白]


▼1 (wihte) Below Threshold の場合



→ しきい値未満が1[白]、しきい値以上が0(ゼロ)[黒]


傾向として、Below はキチンと「未満」として処理されます。





[2]計算機能の「しきい値機能」も試してみよう!!

次に、ラスタの計算機能としての「しきい値処理」ですが、設定ウィンドウ
に>記号が記されているのでわかりやすいですね。こちらもラスタを入力
すると、新しく01ラスタを出力してくれます。




▼Below Threshold の場合



→ しきい値未満が1[白]、しきい値以上が0[黒]


▼Above Threshold の場合



→ しきい値以下が0(ゼロ)[黒]、しきい値より上が1[白]


今度も、しきい値を含めずに境界を引きますので、Below にすれば先ほ
どと同様に「未満」となりますし、Above とすると、「より上」という
扱いになります。





[3]リージョン発生機能の「しきい値機能」ってどんなの?

なんだか、結局はラスタの処理ばかりでないか!! とベクタ処理好きの
方に怒られてしまいそうですので、最後に、しきい値からリージョンを
発生する機能について、ご紹介しましょう。そもそもリージョンとは
属性のないポリゴンのようなものです。詳しい話は、メルマガ第69号を
ご覧ください。リージョンの扱い方、ベクタへの変換方法などが載って
います。( http://www.opengis.co.jp/htm/kako_mail/mail_mag_069.htm )

さて、しきい値機能の設定ウィンドウを確認してみますと、こんな具合
です。先ほどと違い、しきい値を入れる枠が2つ、「Begin of Range:」
と「End of Range:」があります。更に Region: として Inside/Outside
の2つが切り替えられます。この2種類のパターンを組み合わせまして
全部で4種類の状況でチェックしてみました。




▼Begin:1 End:100 Inside の場合



→ Begin 以上、End(しきい値)以下でリージョンが発生 [青く囲まれた所]


▼Begin:100 End:255 Inside の場合



→ Begin(しきい値)以上、End 以下でリージョンが発生 [青く囲まれた所]


▼Begin:1 End:100 Outside の場合



→ Begin 以下、End(しきい値)以上でリージョンが発生 [青く囲まれた所]


▼Begin:100 End:255 Outside の場合



→ Begin(しきい値)以下、End 以上でリージョンが発生 [青く囲まれた所]


最後のリージョン機能だけは、単なる1つのしきい値でなく、Begin と
End の2つのしきい値を決めてあげて、その範囲内をリージョンとして
出力してくれます。つまり、先ほどまでは「しきい値」=「含まないもの」
と考えてよかったのですが、このリージョンに関しては、逆転しまして
「しきい値」=「含むもの」という意味合いになるのです...


●


いかがでしたか?
かなりややこしい話で、頭がごちゃごちゃになったかもしれません。

そこで最後にまとめてみます。

☆フィルタ機能と計算機能は、しきい値を「含まない」
☆リージョン機能の場合は、しきい値を「含む」


未満か以下か... もうわかりますね!!






今週の新プチ・テクニック
"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
"
" で、結局どっちだったっけ...?
"
" 今週の話題でもありました、しきい値による2値化ですが、ついつい
" 以下なのか、未満なのかを忘れてしまって...不安になるときがあり
" ますね。かといって検証するのは面倒くさい。
"
" そんなときは、しきい値の数値に小数点以下をつけておくと安心です。
" 仮に、100 以下としたい場合は、あえて「100.1」としきい値を設定
" します。対象が整数のラスタであれば、以下であっても未満であって
" も関係ないですね。
"
" こんな、ちょっとした発想って、結構重要です。
"
"
""""  隔 週 で 新 / 過 去 テ ク ニ ッ ク を 交 互 に 発 信  """"




New Things 最新情報
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=
= ちょこっとだけ変えました。
= 本当にちょこっとだけなので、来週は新しいページを追加します。
=
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バグ・トラブル情報
???
???
???
??? 属性を選択したいのに、[By Attribute] が選べない...
???
??? ベクタデータを重ねながら、切り取ったり、重複部を抽出したりと
??? いわゆる「オーバレイ処理」を行う [Process]-[Vector]-[Combine]
??? 機能にて、ソースベクタやオペレータベクタの更に属性までも指定
??? することができます。
???  例えば、日本全国の都道府県ポリゴンがあって、処理を行いたいの
??? は東京都ポリゴンだけである... という場合に有効です。
??? (詳しくはベクタテクニック一覧ポスターをご覧ください)
??? http://www.opengis.co.jp/img/gallery/Vector_Operation.pdf
???
??? ところが、いざ属性を選択しようと、「All」から「By Attributes」
??? を切り替えようにも、文字がグレーになっていて選択できません...
???
??? これは、一体何事かといいますと、実は前段階として、対象の属性
??? フィールドを「プライマリ キー」に指定しておく必要があります。
??? 属性テーブルの中では、沢山の情報が関連付けされ、複雑なデータ
??? ベースを構築している場合があります。この際、どの情報が中心と
??? なって、それぞれの繋がりを取りまとめていくのかをわかりやすく
??? するために「プライマリ キー」という位置づけを行います。
??? 話を戻しますと、この「プライマリ キー」として、指定されました
??? 代表的な属性フィールドだけが、現在の Combine 機能で使用できま
??? す。通常の属性フィールドでは対象外となり、By Attribute を選択
??? することはできません。
???
??? ●
???
??? 最後に、通常の「属性フィールド」から「プライマリキーフィールド」
??? へ変更する方法ですが、対象となるテーブルウィンドウが表示されて
??? いる状態からご紹介いたします。
???
??? ▽メニューより [Table]-[Edit Definition...] を選択
??? ▽Message ウィンドウが現れましたら [OK] ボタンをクリック
??? ▽左側に並ぶ一覧の中から、対象のフィールドを選択
??? ▽Fild Info タブへ移動
??? ▽右下の Primary Key トグルボタンをクリック
??? ■[OK] ボタンをクリックで完了。
???
??? これで、「プライマリ キー」に設定したフィールドが、
??? Combine 機能で選択できるようになります。
???
??? ちょっと手間ですが、現在、マイクロイメージ社へ、もっと気軽に
??? 属性フィールドが選択できるように要求しておりますので、しばら
??? くは「プライマリ キー」に指定する点よろしくお願いいたします。
???
???
???
???





今週の話題 on メーリングリスト
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~ 今週は特にありませんでした。
~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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 弊社からの対応は バグ対応と、新製品告知のみですが、
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